先月受検した第56回世界遺産検定1級に合格しました!
試験結果は190点/200点で正答率は95%でした。
▽世界遺産検定1級の合格データ▽
本記事では、私の世界遺産検定1級の勉強方法(試験対策)を余すことなく紹介します!
これから世界遺産検定1級の受験を考えている方の参考になると幸いです。
世界遺産検定1級の概要:テキスト・配点比率・出題範囲
世界遺産検定1級の概要(出題範囲や配点比率・公式テキスト)、具体的な勉強順序について紹介していきます。
世界遺産検定1級の公式テキストを購入する
最初にまず世界遺産検定1級の公式テキストを必ず用意しましょう。
世界遺産検定1級の最新の公式テキストは上・中・下の3巻構成になっています。
すべて必須になります。
世界遺産を取り巻く情勢や遺産登録数は変わるので最新版を手に入れましょう。
※以下は、日本の世界遺産と世界遺産の基礎知識についてのテキスト(上巻)です。中巻、下巻の購入先リンクは後述。
私は新テキストが出版された2024年3月20日から勉強を開始して2024年7月7日の試験を受けました。
世界遺産検定1級合格までの勉強期間は3か月と少しになります。
世界遺産検定1級合格までの勉強時間については、数分の勉強だけの日もありましたし、たくさんやった日もあったので一概に○○時間必要だったとは言えませんが、覚えるまでやりました。
大事なのは何時間勉強することでも、人より少ない勉強時間で覚えることでも、綺麗にノートを作ることでもありません。自分のペースで覚えて合格できればOKなのです!
世界遺産検定1級の出題範囲と配点比率
世界遺産検定1級の出題範囲は全遺産です。
今後どんどん世界遺産の数は増えていくと思うので、受験を検討している方ははやめに受験した方が覚える遺産が少なく済みます。
まずは出題範囲をしっかり頭に入れてから作戦を立てましょう。
世界遺産検定1級の配点比率は、基礎知識25%、日本の遺産20%、世界の遺産45%、その他10%です。
合格に必要な点数は200点中140点。70%の正答率で合格できます。
世界遺産検定1級の勉強順序
配点比率から一番先に取り掛かり時間を割くべきなのは、全体の設問の45%を占める「世界の遺産」ということになります。
以下私が踏んだ勉強の順序です。
- 世界の遺産を覚える(必要に応じて世界史も)
- 基礎知識を覚える
- 日本の遺産をチェック
- 過去問を解く
- 最終チェック:遺産名から遺産の特徴を当てる
- その他の設問の対策
具体的にいうと過去問は覚えながら平行して解いています。(のちほど紹介します)
それぞれの順序でやった具体的な勉強方法をくわしく記載するので、参考にしてみてください。
文化遺産の暗記方法
ここからはステップ1、世界の文化遺産の暗記方法を紹介します。
世界史を学ぶ
世界遺産検定2級を受験した時は、世界史の知識ゼロで挑みました。
2級で取り扱っている世界遺産の数は300程度なので、言葉の意味を理解していなくても丸暗記で合格できます。
しかし、1級は全遺産1500件程度を記憶する必要があるので勉強する過程で世界史の基礎知識が必要だと感じました。
「じゃあまずは世界史をじっくり勉強だ!」と思った方もいると思いますが、そんなことをしていたら時間がなくなってしまうので、同時並行で勉強しましょう。
世界史を勉強するといっても世界遺産検定1級合格のための勉強なので、覚えた方が良い箇所は限られています。
私が使用したのは世界史の基礎知識がコンパクトにまとまっているこの本です。
図解が多くてわかりやすいのでおすすめです。
2024年3月出版の世界遺産検定1級のテキストのエリア別分類に合わせて覚えるべき世界史の基礎知識を紹介します。
アジアの世界文化遺産
- アケメネス朝ペルシア(ここらへんの流れでエジプトも見ておくと良い)
- フェニキア人
- イスラム教(ササン朝ペルシアの滅亡~カージャール朝まで)
- 中国史(殷~清)
- ムガル帝国・ラージープト諸国
意外にもオスマン帝国の世界遺産は多くないので、上記に記載した世界史の基礎知識のうち流れや概要を覚えればOKです。
細かくやっていると時間がなくなるのでサーっと目を通しましょう。
毎回なんだっけ?と調べるのは時間がかかるので、流れと該当遺産を1枚の紙にまとめ、遺産を覚える際に毎回見ながらやりました。
自分が見て分かれば良いだけなので綺麗にまとめる必要はありません。殴り書きでOKです。
アフリカの世界文化遺産
- 古代ローマ
- フェニキア人
- イスラム教(ウマイヤ朝・アグラブ朝・ムラービト朝・ムワッヒド朝など)
アフリカは単発ででてくる王国の名前などはありますが歴史については覚えることが少な目です。
アメリカ大陸の世界文化遺産
- オルメカ文明
- マヤ文明
- アンデス文明
- インカ帝国
アメリカ大陸はマヤ文明の遺産が多いので識別を特にしっかりやりました。
アジア(日本除く)、アフリカ、アメリカ大陸の世界遺産は、中巻に記載されています。
オセアニアの世界文化遺産
オセアニアの世界文化遺産はそもそも数がとても少ないです。
自然遺産の数が多いので必要な世界史の知識はありませんでした。
ヨーロッパの世界文化遺産
- ローマ帝国~ビサンツ帝国まで
- カトリック・プロテスタント・キリスト正教会の違い
ヨーロッパは意外にもこれだけです。
ローマ帝国は文化遺産にたくさん名前がでてくる初代皇帝アウグストゥス、五賢帝、キリスト教を公認したコンスタンティヌス帝のみ覚えました。
ローマ帝国滅亡からビサンツ帝国までの流れは覚えておくと良いです。
オセアニア、ヨーロッパの世界遺産は、公式テキスト下巻に記載されています。
テーマ・時代ごとに覚える
世界遺産検定1級のテキストはエリア別に各遺産の説明が書かれています。
世界史の知識が必要な遺産は、同じ時代や王朝などの遺産をエリアを横断して覚えてしまうことをおすすめします。
フェニキア人
⇒アジア「ティルス」「ビブロス」「バアルベック」
⇒アフリカ「カルタゴ」「ケルクアン」「サブラータ」「レプティスマグナ」「ティパサ」
他にもローマ帝国の遺産、イスラム王朝の遺産、大航海時代の遺産などは、大陸別エリアを横断して存在しているのでセットで覚えてしまうと効率よく暗記できます。
各遺産7回以上読む
私の世界遺産検定1級の基本の勉強法は、テキストを7回以上読むことです。
2級までは太文字装飾になっている赤文字・黒文字の部分のみ覚えていれば高得点をとることができましたが、1級は難易度調整のためかノーマークの文章がでてくる設問がいくつかあります。
7回以上読むといっても、覚えている遺産を無理に読むのは時間の無駄なので、だいたい7回くらい・なんとなく覚えるまでと思ってください。
逆に7回読んでも覚えられない遺産もあります。
個人的にはインド周辺のヒンドゥー寺院名と王朝名などが該当しました。その場合は覚えるまで読みました。
1級の出題範囲は全遺産なのでポンポン覚えましょう。
人名・建物名の覚え方
世界遺産検定1級のテキストでは基本的に人物名を表記するときにフルネーム表記になっていますが、筆記ではなくマークシート形式なので、覚えやすいところのみ端折って覚えていました。
フルネームで記憶する必要はないと判断したためです。
- ジュセリーノ・クビチェック・デ・オリヴェイラ大統領⇒クビチェック大統領
- ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ⇒ベルニーニ
建築物の名称も同様です。
- サンタ・マリア・アッスンタ参事会聖堂⇒アッスンタ参事会聖堂
- ノッサ・セニョーラ・ド・ピラール教会堂⇒ノッサセニョーラ教会堂
建物名は似たような名前がいっぱいでてきて覚えにくいので、テキストに写真がない場合は個別に建物名を検索してスクリーンショットに残しました。
そして復習暗記の際に繰り返し見て記憶の定着を図りました。
もちろんここまでやるのは、太字箇所の建物名のみです。
遺産の場所
世界遺産検定1級の設問には遺産の位置を地図で出題してくる問題があります。
私的には捨て問だと思っていますが、ある程度の遺産の場所は覚えておくと歴史などを勉強した時に地理的なつながりがわかって一機にそれぞれの遺産を覚えられることもあります。
国の位置や名前がよくわからない方におすすめなのは、「あそんでまなべる世界地図パズル」という無料のスマホアプリです。
ゲーム感覚で国の位置を覚えることができますよ。
登録基準
基本的に登録基準は覚えませんでした。各遺産、最初の1度だけ確認はします。
ただ、ⅰ~ⅶの登録基準をすべて満たしている泰山、ⅰ~ⅵすべてを満たしているヴェネチアとその潟遺産、ⅰのみで登録されている遺産、ⅵのみで登録されている遺産などは覚えました。
負の遺産・危機遺産
負の遺産、危機遺産は出やすいので特に注意して覚えました。
2023年から「記憶の場」に関する世界遺産が誕生しました。タイムリーなので該当遺産を覚えておきましょう。
- ESMA博物館と記憶の場:拘禁と拷問、虐殺のかつての機密拠点
- 第一次世界大戦(西部戦線)の慰霊と記憶の場
- ルワンダ虐殺の場:ニャマタ・ムランビ・ギソジ・ビセセロ
※2024年7月7日の第56回世界遺産検定の時点です。
危機遺産に関しては危機遺産リスト入りした理由を覚えておきましょう。
テキストに危機遺産リスト入りした理由が書いていない遺産もあったので、その場合は個別に調べました。
他にも危機遺産リストが懸念されている遺産や紛争中地域の遺産は出る可能性が高いです。
今回私が受験したのは2024年7月だったので、ウクライナとパレスチナの遺産とエルサレムを重点的にやりました。
世界自然遺産の暗記方法
世界の自然遺産の暗記方法はシンプルに読むのみやりました。
同じような自然現象や生息動物の遺産もあるので、混同しそうな自然遺産は時間をあけて別日に覚える・どうしても覚えられない場合は殴り書きするなどの工夫をしました。
自然遺産は遺産数が文化遺産と比較して圧倒的に少ないので、過去問を繰り返し解いたりして覚えれば難なく点数をとれるはずです!
私的にはアフリカの自然遺産がどこも同じような感じで覚えにくいと感じたので回数を多めに復習の期間を短くして読みました。
基礎知識の覚え方
基礎知識の覚え方は自然遺産と同様にくりかえし読むのみで覚えました。
ポイントは時系列と数字を抑えることです。
何年の出来事なのか、何件なのかなど数字がでてきたらしっかり覚えておきましょう。
あとは、世界遺産委員会と世界遺産条約締約国会議、世界遺産センター、などの分類をしっかり脳内で行うことも重要です。
世界遺産条約なのか作業指針なのか等、何で定められているのかも把握しましょう。
過去問の出題傾向をみると、1978年に世界遺産登録された12件の遺産について、パーセンテージを求めてくる問題に何回かあたりました。
新テキストにはそこまで書いていなかったのですぐに答えられるように丸暗記しました。
あとテキストに書いてなかったこととして、国別の遺産保有数が挙げられます。
一応遺産保有数の国別ランキングTOP10を試験前に見ておきました。
日本の世界遺産の覚え方
新テキストに記載がある日本の遺産は全25件(佐渡金山のぞく)です。
日本の遺産はとにかく構成資産が細かく太文字の数が多いのがやっかいなところです。
構成資産の数が全部載っているのでシンプルに覚えきれないのと、情報が細かいのでどこまで覚えたらよいか微妙ですよね。
私は過去問を見て覚えた方が良いと自分で思った構成資産のみを覚えて、あとは捨てる決断をして一切見ないことにしました。
覚え方は他の遺産や基礎知識と同じで繰り返し読むだけです。
日本の遺産に関しては登録基準も可能な限り覚えた方が良いです。(私は諦めました)
ただし日本の遺産の配点比率は25%なので時間を割きすぎるのは禁物です。
過去問を解く
すべての遺産を覚えた後に過去問を解くのは二度手間になる可能性があるので、初期段階で過去問を入手して、全然わからなくて良いので定期的に解いてみてください。
まずは出題傾向を探りましょう。出題されやすい遺産やリンクするような設問があることに気がつきます。
試験日まで定期的に過去問を解き正答率を出しておきましょう。
7割合格なので8割5分くらいコンスタントにとれていたら高確率で合格できるでしょう。
私は3年分の過去問を持っていたので試験日までに2回ずつくらい解きました。
また、世界遺産検定の公式サイトに例題ものっているので一応解いておきました。
2024・2023・2016の過去問を持っていましたが、意外にも数年前の過去問でも出題傾向は同じような感じです。
ただし遺産数が変化しているのでそこだけ注意してください。
世界遺産検定1級の公式過去問題集2024年最新版はこちら
世界遺産検定公式過去問題集1・2級<2024年度版> [ 世界遺産検定事務局 ]
配点比率10%その他の内容を予想
世界遺産検定1級の配点比率にはその他が10%とあります。
過去問の出題傾向や実際に試験を受けてみて思ったその他の出題内容です。
あくまで個人の予想ですが参考にしてください。
- 直近の世界遺産委員会について
- ユネスコの重要人物名
- 紛争地域の時事問題(日本との関わりなど)
- 世界の宗教建築や日本の仏教・神道などの建築様式
- 日本の暫定リスト
- 無形文化遺産
- 先住民
- 絶滅危惧種の分類基準
直近の世界遺産委員会については高確率で出題されるので必ず覚えましょう。
直近の世界遺産委員会について覚える内容としては、世界遺産委員会の開催国(議長国)・議長の氏名・会場名・議長国の推薦している暫定リスト名・前年からの持ち越し審議・特徴のある委員国・紛争中地域の暫定リスト(緊急的登録推薦の可能性があるため)です。
以下私が覚えた内容について詳しく書いておきます。
- 世界遺産委員会の開催国:インド
- 議長の名前:ヴィシャル・V・シャルマ
- 会場名:バーラト・マンダパム
- 議長国の推薦している暫定リスト名:モイダムス・アーホーム
- 持ち越し審議:グレートバリアリーフ(サンゴの白化など)・ディヤルバク城塞(トルコ地震の被害)
- 特徴のある委員国:日本(2025年まで)・韓国(今回から)・ウクライナ(今回から)
- 紛争中地域の国が推薦している暫定リスト名:パレスチナ「テル・ウン・アルム」
無形文化遺産や世界の宗教建築はテキストの途中や最後の方のコラムの欄に書いてあるので、2回ほど目を通しました。
他にもユネスコ日本政府代表者、ユネスコ事務局長はテキストには載っていませんが過去問で見かけたので一応覚えました。
遺産名を見て特徴を分類
ここまでしっかりやればほぼ確実に70%は取れます。
さらに高得点をとって余裕で合格したい方はここから読み進めてください。
世界遺産検定1級の攻略法のひとつとしては、「全世界遺産の名前を聞いただけで遺産の特徴を分別できること」が挙げられると思っています。
世界遺産検定1級の世界の遺産については大きくわけて2つの問われ方があります。
- 1つの遺産内容について問う設問
- 遺産の説明から遺産名を問う設問
「遺産名を聞いただけで脳内で遺産の特徴を分類する」は遺産の説明から遺産名を選ぶ設問に効果てきめんです!
この勉強方法は1つの遺産内容について問う設問にも効果てきめんです!
なぜなら選択肢にある他の人名や建物名または遺産の特徴は、他の遺産の内容であることがほとんどだからです。
名前を聞いただけで、どこの国の遺産でどんな内容の遺産かが分かれば確信をもって回答することができます。
遺産名:モンバサのフォートジーザス
⇒ケニア・ポルトガルの植民地・バッティスタカイラティの設計・真上から見ると人の形をした設計の砦
遺産名:フライベントスの産業景観
⇒ウルグアイ・食肉加工工場・リービッヒ肉エキス社
もちろん紙に書く必要は一切ありません。というより書かないでください。
なぜなら目的は遺産を脳内で瞬時に分類して正答することなので、書いてまとめる時間がもったいないからです。
遺産名を見て、脳内でパッと思いつけばOKです。書いた方が覚えられる方はやっても良いと思います。
ここまで覚えることができたら、どんな問題が来てもだいたい即答できるので9割は取れるでしょう。絶対に合格できるはずです。
※世界遺産検定1級は難易度調整のためか、明らかな捨て問と思われる問題も数問あります。
おわりに
世界遺産検定1級の合格に必要な知識や勉強方法について紹介しました。ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございます。
世界遺産の数はどんどん増えています。世界遺産検定1級の出題範囲は全遺産なので「受けようかな」と思ったらすぐに受験を検討することをおすすめします。
合格に向けて私の勉強方法が参考になると嬉しいです。受験するみなさん頑張ってください!心から応援しています(^^)☆
【参考】